OpinelのNo.10を分解する

OpinelのNo.10は最初に購入したナイフです。革砥で研いで紙をサクサク切れるようになりましたがなんというか異様に折りたたみが渋いのです。数時間置いて固着すると一撃コンとしないと開きません。親指の爪がやられます。買った時からこの状態です。

Webをいろいろとうろついてみると、完全品ではないから自分で調整するものというのを見ました。切っ先に刃が付いていなかったりするのは自分で研げということで、折り畳みが渋いのは最初からブラブラよりましだろ、好みの固さにしろということでしょう。確かに最初からゆるゆるで軸とブレードがぐらついていたら最悪です。

ラジオペンチでリングを広げて取り外します。閉じるためのラジオペンチを広げる方向で使うため、持ち方と力の入れ方に熟練を要します。広げたまま上にずらしてリングは取れました。

固定ピンはカシメているように見えなかったので、安物で軸が少し曲がっている&先端を平たくつぶしているプラスの精密ドライバーを当てて後ろから叩き出します。とはいっても専用工具はなくナイフの木のハンドルをバイスで締め上げればへし折れるのは確実です。コンコンやるとハンドルは逃げ回ります。厚めの木の板を買ってきて作業台を作れば後々楽なのはわかるのですが今回はパスして、テーブルの上でプライヤーやペンチなどを組み合わせてどうにか軸が暴れるのを抑え込み、ピンを数ミリ叩き出してペンチで引っこ抜きました。

ブレードがものすごく固く挟まれています。ハンドルの根本の部分の金属リングが固くはまり込んでハンドルを締め付けているようです。ブレードを引き抜いてリングも抜きます。

リングを抜くとハンドルの締め付けが緩むのがはっきりわかり、ブレードを素手で戻すこともできる位になりました。さて、ここで工具箱から小型のダイヤモンドやすりセットを取り出します。小型なのでうまく溝に入ります。木くずが入ると掃除が大変なので木工に使うなと書いてありますが、あえて無視してハンドルの溝を少し広げます。でかく広げすぎるとリカバリーができなくなるので少しだけです。今の固着したらコンコンしないと開かないという状況が解消できれば良いのです。

つまようじの後ろで削った溝にラナパーを塗りこみます。蜜蝋とホホバオイルが原料なので革製品だけでなく木材にも使えるはずです。溝の内側のニスは削り取ってしまったのでとりあえず防水用に塗ります。(ラナパーはワセリンが主成分とのことで艶出しがメインになりそうです)

組み直しを試みますが、引っこ抜いたピンが入りません。やはりカシメで太くなっていたのでしょうか。ピンの先の方をバイスとダイヤモンドやすりで少しだけ削り込みます。ダイヤモンドやすりの丸いやつがちょうどピン穴に入るので木くずを削り落として見通しをよくします。ピン穴に少しだけ入るようになりましたが打ち込みが必要です。ハンドルの穴と内側のリングとブレードの穴をピタッと合わせなければ打ち込みはできません。最初の試みはブレードをピンが通過できずに失敗しました。

ピンを叩き出すのに使った精密ドライバの慣れの果てがピン穴に入るので役者全員がぴったり穴に合うようにぐりぐりと動かします。再度打ち込みで無事にブレードを通過しました。根元まで叩き込んで組立完了です。一晩おいてもコンすることなく通常の力で刃を引き出せます。

これで分解整備は完了です。分解で外側に傷をつけることもなかったので一見すればまだ新品です。ハンドル根物の内側のリングはペンチでピンを抜くときに傷がつきました。