Highway to the Reich, DG

ウォーゲームもなかなか面白いものが多くて大変です。Highway to the Reichという昔SPIが出していた映画「遠すぎた橋」と同じテーマのゲームをDGが再販ではなくリメイクしたものが最近発売されました。箱が横に2倍になっています。AHの平箱は幅が倍あって厚みが半分だったのですが、DGの平箱は厚みそのままで面積が横に倍あるため、容積も倍増です。マップを折る回数が半分になるため、マップには優しいかも知れません。SPI版は第2版を所有しており、愉快な翻訳のHJの日本語解説書があります。今回のDG版はマップスケールと部隊スケールは同じでヘクス対辺500m、歩兵中隊、砲兵中隊、AFV小隊です。しかし、いきなり1ターンが2時間から3時間に拡張され、1ステップが兵員で25名から30-50名、車両で1両から2両、砲も1門から2門に変更されています。歩兵系は1から2ステップの減少で済みますが、砲やAFVのステップは4から半減して2になっています。
SPI版の戦闘は、直接射撃と間接射撃と近接突撃で構成されていましたが、DG版は直接射撃が従来型とAT(Anti Tank)に分かれています。装甲目標はAT射撃でなければ破壊できません。ユニットが密集体型と散開隊形(新版では遮蔽という言葉になっています)でも戦闘力が変化しません。旧版はティーガーでも散開すると撃たれ弱くなったりしましたが、新版では固いままです。射撃の火力は、戦闘力と兵力(ステップ数)のクロスリファレンスで求めます。SPI版は戦闘を1:1で解決します。何個中隊が射撃をしても、1:1の戦闘が参加中隊数分繰り返されることになります。DG版では射撃に参加した中隊のうち戦闘力の同じ物(装備が同じ)は兵力を合わせることができるようになっています。最大兵力は9ですが、それを越える9兵力ごとに1カラムシフトが得られます。8%の成功率にかけて延々低火力の射撃を繰り返す必要はなくなりました。とは言っても塹壕に隠った歩兵を叩き出すのが非常に手間なのは変わりません。塹壕を掘られる前に潰す必要があります。
対戦車戦闘はAT射撃能力が軽と中と重に分類され、装甲防御力が超軽と軽と中と重と超重に分類され、この2つのクロスリファレンスで命中数が決まります。参加している兵力(ステップ数)で命中数は増加します。中装甲で中火力(Mk 4やM4が中の中)なら命中数6で余分な1ステップに付き1増加です。1個小隊が2ステップなので、余分な1ステップが命中数を1増やします。この場合命中数は7です。[2ステップロス]≦命中数の半分<[1ステップロス]≦命中数が結果です。1個小隊は普通4両構成で、2両が1ステップですから1個小隊は2ステップしか持っていません。3時間の射撃戦なので全滅があってもおかしくはありません。注目のケーニヒスティーガー(Mk VIb)は超重装甲、重火力×2という評価になってます。1個小隊の兵力は2ステップですが、火力に×2が付いていると兵力が2倍になります。これが付いているのは88mmのL71だけです。1個小隊でも余剰兵力3で撃てますが、撃たれる場合は2ステップしかないため脆いです。75mmL/70が射程1の重火力、17ポンドが射程1の重火力、88mmL/56が射程2の重火力、88mmL/71が射程2の重火力×2です。

同じテーマのThe Devil's Cauldron(スペルミス訂正)も購入しました。スケールはほぼ同じです。マップにはヘクスグリッドがほとんど書かれておらず、ヘクスの頂点から3方向に短い線が出ているだけです。フルグリッドが示されているのは都市部分とその周辺だけです。地図風で見やすいとも言えますが、ゲーム的には見づらいですw フルマップはつないで全域を表しますが、シナリオで使う部分マップが裏面に印刷されています。これは機能的で良いかも。
ただ、このゲームは英文が致命的に読みづらく全く読解が進みません。ゲームのルールブックに使われる単語は大体同じようなものが多いのですが、これは似たような意味の別単語がごろごろ出てきます。他のルールブックと同じような単語を使ってくれよ(^^; しかも、ユニットデザインが今風というかデザイナーは病気というか、実に見づらいです。数値のレイアウトは申し分ないのですが色遣いが悪すぎです。部隊名のフォントも読みづらいです(実はドイツ軍の部隊名は読めません)。
Highway to th Reichも時々恐ろしいくらいの複文が出てきて、これ書いてるやつ既に何を書いてるか把握できてないだろと突っ込みたくなりますけれども、単語は他のメーカーと同じようなものを使っています。ユニットデザインは兵科記号または車両シルエットにいくつかの数値のみという実に見やすいシンプルなのものです。

しかし、映画の遠すぎた橋は各シーンがどう繋がっているのか、さっぱりわからない迷作でしたが、今更ながらマップを広げて確認すると、軍医を脅した軍曹のシーンは、おそらく第107装甲旅団(装甲1個大隊と装甲擲弾兵1個大隊に支援部隊少々)のがソン橋を襲った前後の戦闘だと想像できます。ナイメーヘンの橋を渡った直後らしき場所で近衛機甲師団が郊外で歩兵を待っているシーンも、実はナイメーヘンの都市部は南岸に広がっていて、いったん渡るとすぐ郊外出るようになっており、本当に渡ってすぐの位置に停止してるんだなぁと、渡河作戦で部下を大量に犠牲にしたクック少佐(ロバート・レッドフォード)が怒るのも無理はないと思いましたw イギリス空挺師団がどのあたりに包囲されていたのか、ポーランド空挺旅団がどのあたりに降下して酷い目にあったのかは、ゲームマップとラスト・オブ・カンプフグルッペで把握しました。