ヒトラー最期の12日間を観る

もうね、すごいですよ。予備知識のない人が見ても、全く展開が把握できませんね。ドイツの軍服と階級を見分けられて、党の制服と区別できないと何が何やらわからないと思います。わたしも階級章の見分け方の復習が必要でした。戦況の推移も図で説明してくれないので把握不可能でしょう。
したがって、ヒトラーとその周辺の人たちがなす術もなく追い詰められて行き、総統の自殺で一斉に自殺するか脱出するという展開しか見えて来ません。これが実にリアルなのが恐いです。車両を除けば服装から装備まで実に丁寧に再現されています。
オリジナル音声はドイツ語で、日本語吹き替えではわからないのですが、記録映画で確認できるヒトラーとそっくりの話し方なのがわかります。恐ろしい演技力だと思います。地下壕でもあんなに芝居がかった喋り方と仕草だったのかはわかりませんけど。
第9軍はベルリン前面に展開していますが、ヒトラーに後退を禁じられて包囲されてしまいます。包囲されてしまえばベルリン攻防戦には直接関与できません。第9軍所属の第56装甲軍団はソ連軍に圧迫されてベルリンに押し込まれます。この第56装甲軍団司令官が総統官邸地下壕に銃殺されるために出頭しして、ベルリン防衛総司令官に任命された、ヴァイトリング大将です。この人は陸軍です。他に官庁街の防衛司令官がモーンケ少将です。この人は親衛隊(SS)の将軍です。野戦指揮官が必死に戦っているのに、地下壕内の金ぴかの皆さんは、たいした働きをしていないところの対比がすごいですね。
親衛隊の制服は暗いグレーで襟は開襟のシャツにネクタイを付けています。襟章に白い点が4つ付いているのが佐官(少佐から大佐)、3つ付いているのが尉官(少尉から大尉)、白い三枚の柏の葉っぱが付いているのが将官(少将から上級大将)です。モーンケ少将は少将なので柏の葉っぱが付いていました。階級が上がると、内側に点が追加されていきます。
陸軍の制服は暗い緑色のカバーオールで一番上までボタンを止めるのが普通です。将官の襟は赤字に柏の葉っぱで、階級は肩章で見分けます。映画では肩章についている星がよく確認できませんでした。
首にぶら下げている鉄十字勲章は騎士鉄十字勲章といって、抜群の戦功がなければ授与されません。上に柏の葉っぱがついていて、リボンで首に巻きつけます。さらに上級になると、下にクロスした剣が葉っぱの下に付きます。もう1つ上がると剣にダイヤモンドがつきます。左胸に付けているのはシンプルな普通の鉄十字勲章で一級、二級があります。
ヴァイトリング大将が出頭した際に騎士鉄十字勲章を相手に見せるシーンがあるのですが、ヴァイトリングは剣または宝剣(ダイヤモンド)付き騎士鉄十字勲章ですが、相手は柏の葉っぱだけのように見えました。
総統はたばこ嫌いで地下壕内は全面禁煙でした。これを踏まえていないと、なんでそうするのよと思うようなシーンが続出です。相当自決確認後に一斉にたばこに火をつけるシーンは面白いです。